「路上で会おう」。
バイカー同士で交わされるこのフレーズ、
直訳では単に「SEE YOU ON THE ROAD」だが、
本場では往々にして「DOWN THE ROAD」とも表現される。
この「DOWN」には「いつか、未来に」というニュアンスが含まれ、
SEE YOU DOWN THE ROAD で
「未来へ向かうこの道のどこかで会おう」という
意味合いとなる。
これは自由と新たな可能性を求めて常に、
その先にあるものを信じて「道」を進んできた
アメリカの国民性ならではの表現と言えるだろう。
だがその「道」を進む際、目的地へ向かう我々の足並みは
自ずと速くなってはいないだろうか。
急ぐ気持ちをそのままに車輪を進めれば、
自然とそのスピードは上がり、
目的地には早く辿り着くことは出来る。
だがそれは同時に、その道中で沢山の物を見落としてしまう、
ということなのかもしれない。
そして、本来の旅の醍醐味はこの「道中」にこそ
多くあることを我々はその経験を通して知っている。
目紛しく変化する世情と流行のサイクル。
そのスピードは余りにも速く、垂れ流される情報は余りにも多い。
火花が散りそうな不安定な
世の中で、
安易に生産されて次々に消費されていくことが当然とされる風潮。
だがこれらは逆に、我々に着実にゆっくりと進むことの大切さを
再認識させてくれる。
それは非効率的な部分でもあるが、時間をかけて作られ、
長く愛する事が出来る我々の物づくりと同様だ。
RUMBLING MAN やMIDNIGHT RIDER など
旅情溢れる数々の名曲を有し、
多くのバイカーにも愛されるバンド
THE ALLMAN BROTHERS BAND のメンバーDICKEY BETTS。
彼の初ソロアルバムに収められたナンバーに
「HIGHWAY CALL」がある。
祖父との思い出を辿りながら
「HIGHWAY=道」に呼ばれて帰路に向かうという物語だ。
嘗てテーマとした「BLOWIN’ IN THE WIND」でも述べたように、
答えは全て「風の中」なのだ。
ましてや、走る理由すら見失いそうになるこの時代。
だが、それでも道は変わらず我々を呼び続ける。
だからこそ、
自分自身に聞こえる
「道からの呼び声=HIGHWAY CALL」に向かって
進むべきではないのか。
その呼び声に向かって走る、それが生きるということ。
道を走る時、
それが「BACK ROAD(田舎道・裏道)」だって良いじゃないか。
そのスピードで走ることで見えるもの、
そして見落としていた物がある筈だから。
高速道路をぶっ飛ばすだけじゃ大事な人や大切なことが
過ぎ去っていくだけさ。
こんな時代だからこそ時に、ゆっくりとしっかりと走っていこう。
「45 マイルの風」を受けながら。
BACK ROAD IN THE WIND。
そう、本当に大切なものを見落とさぬ様に。
そして、混沌としたこの時代であっても、
この先にある新しい出会いと素晴らしい可能性に巡り合うために
我々はこの言葉を掛け合うのだ。
「SEE YOU ON/DOWN THE ROAD=この道のどこかで会おう」と。
新型コロナウイルス感染予防対策として、下記のご協力をお願いしております。 |
REALDEAL,リアルディール